海龍のつぶやき - Mumbles by the SeaDragon - (ダイビング編)

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第二次大戦の沈船を発見 ヒューストンとパース

本稿は「海龍亭別館」からの転載です。 この手の記事は 今後 こちら「海龍のつぶやき-ダイビング編」に順に集約していこうと考えています。


ジャカルタ新聞 2001年?月?日 掲載分

海龍ダイビングの楽しみ
第二次大戦の沈船を発見 ヒューストンとパース 



 
ジャカルタに滞在中の邦人の方に是非知ってほしい歴史として、第二次世界大戦中の日本軍による蘭印作戦がある。  総司令官の今村均中将と西部方面攻略軍主力のジャワ島上陸地点が、バンテン湾周辺である。 1942年2月28日の深夜から翌3月1日早朝にかけての出来事であった。


■ジャワ島上陸作戦

 
それ以前に日本軍はボルネオ、セレベスを攻略し、ジャワ海では、オランダを中心として米、英、豪が参加するジャワ防衛連合軍艦隊との間で、数回にわたる戦闘が行われていた。 特にジャワ島上陸作戦が近づくと、上陸用輸送船団の阻止をめぐって駆け引きが続き、スラバヤからスマラン沖にかけて、かなりの規模の海戦が行われた。これがスラバヤ沖海戦と呼ばれるものである。

  この海戦で、同盟国からも批判を浴びるくらい無能だったといわれる蘭印の海軍司令長官と艦隊司令官のためか、日本海軍が優秀だったのか、はたまた単にラッキーであったのかは諸説入り乱れるところであるが、連合国艦隊は壊滅的な打撃を受けた。 こんな戦史が、どうしてダイビングと関係あるのかと疑問のむきもあろうかと思うが、もう少し我慢してほしい。 

  このスラバヤ沖海戦をほぼ無傷で生き延びた米の重巡洋艦ヒューストンと豪の軽巡洋艦パースは、バタビア(現在のジャカルタ)で補給を受け、当時の後方基地である豪ダーウィンとの連絡港だったチラチャップに一時避難するように指令を受けた。



■バタビア沖海戦で沈没

 
両艦がバタビアから西進し、バンテン湾沖合いに差し掛かったのが1942年2月28日午後11時ごろ。 今村中将率いる上陸部隊がまさに上陸を開始しようとしているところであった。  丸腰の輸送船相手に、先日の敵討ちとばかりに両艦は攻撃を開始したのであるが、そのうち、護衛の日本海軍の巡洋艦数隻と多数の駆逐艦が到着。 多勢に無勢で、ヒューストンパースはバンテン湾沖で討ち死にすることとなった。 これが世に言うバタビア沖海 (Battle of the Sunda Strait)である。 ヒューストンパースのほか、日本側軍艦一隻と複数の輸送船がバンテン湾に沈んだ。


豪州海軍 軽巡洋艦 HMAS Perth 号の 勇姿 (1936年撮影)

■有志の手で捜索開始

  通常、ダイビングの対象になる沈船というのは、40メートル程度の水深までだ。戦争中の沈船というと、港周辺で荷揚げ中に沈められた輸送船がほとんどであり、一般ダイバーにとっては十分に深い深度である。  
 
   軍艦は海戦で沈むために数100メートル単位の深度にあり、到底、一般ダイバーの挑戦できる深さではない。 バンテン湾での戦闘海域は50メートルという、ちょっと無理すれば可能な深さだったため、両艦の捜索が有志の手で始まった。(註)

 
  パースについては米・豪海軍の公式記録、生存将兵の回顧録、日本側資料、英海軍の海図、地元の老漁師への聞き取りなどを重ねていったのだが、それぞれの内容が一致しない。  

  このような時に、1960年代に元豪空軍のダイバーがパースを捜索し、発見していたことが分かった。 その過程は 「Bell of Sunda Strait という出版物(絶版)となっている。 インターネットで検索し、ロンドンの古本屋にあったものを入手した。 非常に参考になったものの、具体的位置は記載されていない。  何度も海域の捜索を重ねた挙げ句、ようやく沈船を発見した。 主砲のサイズや配置からパースであることは間違いない。

■船名特定が難航

   さて、ヒューストンだが、パースとの沈没位置関係が各種記録でまったく違うので難航。  そうこうしているうちに、同海域で大きな沈船を発見した。 これが結果としてヒューストンだったのだが、船名特定までが大変だった。

  甲板部分が影になる形で沈んでおり、昼間でもかなり暗い。何度調査ダイブをしても武装らしきものが発見できない。  このため、船の大きさから日本の輸送船「佐倉丸」ではないかと考え、日本の船の専門家に問い合わせたところ、スクリューシャフト形態が輸送船というよりは軍艦のものだという回答を得た。  軍艦となると大きさからヒューストンでしかあり得なくなるわけで、それを証明できる遺品の捜索を続けた。

  英文表記のある真鍮製プレートを発見したのだが、先の専門家いわく、当時は日本の船も英国辺りに発注していたことがあり、英文表記のプレートだけでは決定打にならないとのこと。

■船体から落ちた砲塔

  調査ダイブを繰り返すうちに、三本柱の大きなマストが二本あること、スクリューシャフトの上にスクリューガードがあることなど全体像が見えてきた。  当時のヒューストンの写真を何枚か取り寄せ、比べると酷似している。だ が、なぜ主砲の類が見つからないのであろうか? パースでは完全に残っているのに…。
 
 
カルフォル二アの母港を出航する USS Houeston 号 1935年撮影 
 
   調査を進めると、主砲があるべき場所に、大きな穴があることが判明した。軍艦の設計図で調べると、構造上、主砲ユニットはひっくり返すと船体から落ちる可能性があることが分かった。 さらに記録を調べると一カ月ぐらい前にバリ方面海域でヒューストンは第三砲塔に直撃爆弾を受けており、完全修理が間に合わず、取りあえず格好だけと、なんと溶接で留めてあっただけらしいという、うそのような本当の話。 

 ほとんど真っ暗な海底を調べると、砲塔と思われる物体があるではないか。 ヒューストンは日本艦船に滅多打ちにあったらしいので、砲身などは、そう言われればそのようにも見えるという程度だ。 その後、魚雷の命中位置などを調べ、この沈船がヒューストンであるという結論に達した。 

   決定打は、艦橋付近で対空機関砲の銃弾を発見したことである。 銃弾をクリーンアップすると、薬きょうの部分から当時の米海軍の納品検査マークが出てきたのである。  

 その後、第三砲塔近くで主砲弾も発見。この主砲弾は第二次世界大戦中に米海軍が使用したものであった。  最近になって高角砲弾も発見された。


■調査への参加者募集
  
  両艦の全体像はほとんど把握できたので、天候と潮流が許す場合には、中級以上のダイバーに限り、この沈船へのダイブトリップを行っている。巨大な艦体をねぐらにした馬鹿でかい根魚、回遊魚。  パースでは主砲砲身がそのまま残っており、一般ダイバーでも大冒険気分を味わえる。

  筆者を筆頭とする調査班は、未だに船名の入った遺品(食器類)が発見できていないのが不満であり、最近、場所が明らかになった艦長室、士官室などへの調査も考えている。  上級ダイバーの新規参加は望むところであると書いておこう。





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【註】 今回の転載にあたっての追記 

実際には 当然と言えば当然なのだけれど 70年代頃に インドネシア海軍の潜水部隊の手によって この両艦は 調査されていたのだが、非公式のものであった様子で 詳細なる記録は保管されていないらしい。 1996年頃に ジャカルタ在住ダイバーの一団が やはり 同様の調査を行ない、パース号は発見して 海龍もその調査の一部には参加していたのだが、アドミニストレーションが悪く、記録が全て紛失してしまったので、また初めからの調査となったもの。 






[2009/11/14 記]  

テーマ:インドネシア - ジャンル:海外情報

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